離婚Q&AQUESTION
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婚姻費用は、子供を含む夫婦の生活費です。
夫婦は、互いに協力し扶助しなければならず(民法752条)、これは夫婦が別居した場合でも同様です。
夫婦は別居後も互いに婚姻費用分担義務を免れるわけではなく、婚姻費用の分担義務者(基本的にはより多くの収入を得ている配偶者)は、自己の生活を保持するのと同程度の生活を権利者(基本的にはより少ない収入の配偶者)に保持させる義務(これを生活保持義務といいます)を負っています。
そして、婚姻関係が破綻し、夫婦が別居していても、婚姻が継続している限り、婚姻費用の分担義務者は、その負担を免れないというのが、ほぼ確立した判例、実務になっています。
いくら長期間別居していて婚姻関係は破綻していても、法律的に離婚が成立するまでは、配偶者は婚姻費用を支払わなければならないのです。
学説では、破綻主義の立場から、破綻・別居の期間が長くなれば、婚姻費用分担額は、軽減されるべきであるとするものも少なくありません。
また、かつては、判例でも、破綻の程度に応じて婚姻費用分担額を軽減するものも少なからずありました。
2003年に東京・大阪の裁判官等による研究会が、養育費・婚姻費用の算定方式と算定表(算定表といいます)を公表してからは、実務では、算定表に基づき婚姻費用を算定することが定着し、その結果、事案に応じて細かく婚姻費用の算定をすることはほとんどなくなりました。
そのため、長期別居や夫婦関係の破綻を理由に、算定表による婚姻費用を軽減している事案はほとんどないと思います。
このように、夫婦関係が破綻して長期別居状態にあっても、婚姻費用分担額を軽減することは難しいことから、婚姻費用分担義務者は、夫婦関係が修復できないと判断した場合には、速やかに離婚調停、離婚訴訟の手続をすすめることが重要になるでしょう。