離婚Q&AQUESTION
離婚Q&AQUESTION
面会交流とは、別居中や離婚後に子を養育していない親が、子どもと会ったり、電話、手紙、メール等で交流をすることです。
離婚する場合には、両親のどちらかを子どもの親権者と決めなければなりません。
そして、普通は、親権者が子どもを監護、養育します。
子どもを監護、養育していない親(非監護親といいます)も、当然子どもの親として、離婚後も子どもと交流することが、子どもの健全な成長には大切であると考えられています。
面会交流は、権利なのか、権利だとしたら誰の権利なのかということが議論されています。
学説では、面会交流権の権利性を肯定する説が強いのですが、誰の権利かについては、
① 親として有する固有の権利であるとする説
② 子の権利であるとする説
③ 親の権利(及び義務)であると同時に子の権利であるとする説
等があります。
最高裁平成12年5月1日の決定は、「婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合であっても、子と同居していない親が子と面接交渉することは、子の監護の一内容であるということができる。」と述べています。そして、この最高裁決定を受けて、実務では「面会交流権といわれているものは、面会交流を求める請求権ではなく、子の監護のために適正な措置を求める権利である」(杉原則彦 最高裁判例解説平成12年度版(下))と解しています。
平成24年4月1日に施行された改正民法766条1項は「父母が協議上の離婚をするときには、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合において、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」と定めています。
このように民法の条文においても父母と子の面会交流が規定されたのです。
この条文等を受けて、現在の家庭裁判所の実務では、子の利益に反する事情がない限り、原則として、非監護親と子との面会交流を認めることになっています。
別居中や離婚後に子を監護していない親(非監護親)が子と面会交流する方法や回数は、父母の協議で決めるのです。
ですから、協議ができれば、面会交流の方法や回数に特に制限や標準といったものはありません。
面会交流は、父母が別居した場合に、時間を置かずに、監護親と話合いをして、具体的に子と会う日時や場所を決めて、実施していくことが大切です。
その場合に、夫婦の間はうまくいっておらず、また監護親が子を連れて別居したことに納得がいかない等監護親への憎悪や不満があるとしても、そのことと子との面会交流は分けて考えることが大切です。
監護親と面会交流の日時や場所を決める際にも、その連絡は、節度を持って丁寧にすることが、面会交流をスムーズに継続していくためには必要です。
また、決めた面会交流の日程は守り、遅刻などしないようにすることも当然のマナーです。
監護親と非監護親との協議で、面会交流の実施を決められない場合には、家庭裁判所に面会交流の調停申立てをして、調停または審判で面会交流の具体的方法や回数を決めることになります。
この場合には、現在でも、面会交流の頻度は、月1回位が最も多くなっています。
また、調停や審判で面会交流が決定するには、数か月以上時間がかかりますので、調停中であっても、面会交流を行うことを申し入れて、できる限り早い段階から面会交流を行っていくことが大切です。
面会交流の日時や場所の設定に当たっては、監護親や子の生活スケジュールや希望をよく理解して、その希望に沿った日時や場所を決めることも大切です。
非監護親が自分の都合や趣味を子どもに押し付けても、面会交流は長続きしません。
子どもをどこに連れていったら、子どもが喜び、また監護親も安心するか等をよく考えて、充実した面会交流ができるように配慮することが重要です。