離婚Q&AQUESTION
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平成16年6月に成立し、平成19年4月から施行された「国民年金法の一部を改正する法律」(平成16年法律第104号)により、離婚時年金分割制度がつくられました。
この離婚時年金分割制度には、「合意分割」と「3号分割」の二つの制度が含まれています。
以下、「合意分割」と「3号分割」のそれぞれについてご説明いたします。
合意分割とは、平成19年4月1日以降に離婚等をし、次の条件①②③に該当したときに、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者(夫と妻)で分割することができる制度をいいます。
①婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること
②当事者双方の合意又は裁判手続により按分割合を定めたこと(合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより裁判所が按分割合を定めよう求めることができます)
③請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと
年金を分割してもらう「按分割合」を当事者(夫と妻)が合意して定めることができます。
年金分割の制度創設の趣旨には、「婚姻期間中にサラリーマンの夫を支えた妻の貢献度を年金額に反映させる」ということがあります。
按分割合の上限は2分の1(厚生年金保険法78条の3第1項、78条の14第3項)とされ、下限は、夫婦の対象期間標準報酬総額に応じて算出されます。
仮に、夫婦共働きで、妻にも夫の収入の約7割の収入があった場合を想定しますとその按分割合は40%程度が下限とされることが多いです。
按分割合を定める際に、当事者につき分割の対象となる期間やその期間における当事者の標準報酬月額、標準賞与額、按分割合を定めることができる範囲などの情報を正確に把握する必要があります。
そのため当事者双方又は一方がそれらの情報を提供するよう請求することができます。
それらの情報提供の請求先は厚生年金の場合は日本年金機構(年金事務所)となります。
公務員の場合は国家公務員共済組合又は地方公務員共済組合、その他の場合には、日本私立学校振興・共済事業団などもあります。
年金基礎部分である国民年金は分割の対象外となります。
厚生年金の報酬比例部分が分割の対象となります。
合意分割の対象期間は、婚姻期間となります。
すなわち、夫が婚姻前から働いていた場合には、その(婚姻前に働いていた)期間は対象外となります。公務員の共済年金は厚生年金と同様に合意分割の対象となります。
したがって共済年金のうち報酬比例部分は、対象となります。
また、共済年金のうちの職域部分も分割の対象となります(なお、この職域部分は現在では廃止となりました)。
3号分割とは、平成20年4月以降に妻が専業主婦であった期間(第3号被保険者期間、3号分割では「特定期間」とされる)について会社員である夫(第2号被保険者)の保険料納付記録の2分の1を自動的に分割できるという制度のことをいいます。
制度の趣旨は、厚生年金保険料は夫婦が共同して負担したものであるから、離婚したときは、標準報酬の半分は妻のものとなるべきであるという考え方によるものです。
3号分割の場合、夫婦で年金分割についての合意は必要ありません。
対象期間は平成20年4月以降で妻が第3号被保険者であった期間となります。
なお、被扶養配偶者となっていた期間であっても20歳未満や60歳以後の被扶養配偶者の期間は、第3号被保険者とならないので3号分割の対象となりません。
合意分割の請求と3号分割の請求は、それぞれ別の制度となっていますので、両方の請求を同時に行なうことも可能とされています。
なお、平成20年3月以前の対象期間も含めて合意による分割請求を行った場合、3号分割の対象期間については、3号分割が先に行なわれたとみなされるとして取り扱われます。