年金分割の按分割合が0.5以外であることはありますか

離婚時年金分割制度

離婚時年金分割制度には「合意分割」と「3号分割」との2つの制度が含まれております。
このうち「3号分割」は、平成20年4月以降に妻が専業主婦であった期間(第3号被保険者期間、3号分割では「特定期間」とされる)について会社員である夫(第2号被保険者)の保険料納付記録の2分の1を自動的に分割できるという制度のことをいいます。
したがいまして、「3号分割」については、按分割合は2分の1(0.5)と法定されていますので、0.5以外の按分割合はあり得ません。
しかし、年金分割のうち「合意分割」の場合には、0.5以外であるということがあり得ますので、ご説明いたします。

「合意分割」と按分割合

(1) 合意分割とは

「合意分割」とは、平成19年4月1日以降に離婚等をし、次の条件①②③に該当したときに、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者(夫と妻)で分割することができる制度をいいます。
①婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること
②当事者双方の合意又は裁判手続により裁判所が按分割合を定めたこと(合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより裁判所が按分割合を定めるよう求めることができます)
③請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと

(2) 按分割合の上限

按分割合の上限は、2分の1(0.5)(厚生年金法78条の3第1項、78条の14第3項)とされ、下限は、夫婦の対象期間標準報酬総額に応じて算出されます。
夫の対象期間標準報酬総額が5000万円、妻の対象期間標準総額が3500万円の場合は、3500万円÷(5000万円+3500万円)×100≒41.17 %となります。
この場合、按分割合は、50%~41.17%の範囲内で定められることになります。

(3) 合意で定める場合

按分割合が当事者(夫と妻)の合意に定められるときは、上記上限額(0.5)と下限額との間で決められるのであれば、それが年金分割の割合となります(なお、下限額を下回ったり、上限額を上回ったりする按分割合を定めることはできません)。

(4) 裁判所で定める場合

当事者(夫と妻)との間の合意で按分割合を定めることができないときは、家庭裁判所で按分割合を定めてもらうことができます(調停・審判)。
調停の場合に、双方の合意ができればその合意が調停調書に記載されて、裁判や審判と同一の効力を持ちます。
調停が成立しないで、審判となった場合には、裁判官が審判(決定)という形式で按分割合を定めます。
その場合、特段の事情等がない場合には、按分割合は0.5と定められることが多いといわれています。

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