離婚訴訟はどのように行われますか

訴訟提起(訴状等の提出)

離婚訴訟は家庭裁判所が取り扱いますので、訴状(正本、副本各1通宛計2通)を管轄する家庭裁判所へ提出する必要があります。
訴状には、「請求の趣旨」として、①離婚の請求、②未成年の子の親権者の指定、③慰謝料の請求、④財産分与の請求、⑤年金分割の指定、⑥養育費の請求等を記載します。
また、訴状には「請求の原因」として、法定の離婚原因事実(不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、その他婚姻を継続し難い重大な事由)(民法770条1項)を具体的に記載して主張することが必要となります。
したがいまして、離婚調停申立書に比べ訴状は法律的にきちんと作成されることが肝心ですので、できる限り専門家である弁護士に依頼することが望ましいといえます。
また、「法定離婚原因」を証明する書証等も、適宜、訴状に添付して提出することが必要となります。
なお、訴訟が開始されてから、書証の追加提出も可能です。
さらに、離婚調停が不成立となったことの証明書、夫婦の戸籍事項証明書等を添付することが必要となります。
なお、訴状には、印紙を貼付する必要があります。
印紙代は、請求の内容、金額等によって定まります。裁判所で確認するなり、弁護士から説明を受けるなりして下さい。
また、訴状提出の際には、裁判所が指定する郵便切手を裁判所に予納することが必要となります。

訴訟期日の進行

第1回訴訟期日は、訴状提出から約1か月(~2か月)後の日にちが指定されるのが普通です。
相手方(訴訟では被告と呼ばれます)に対しては、訴状副本、書証副本、期日呼出状等が送達され、訴状に対する答弁書を第1回訴訟期日より1週間前までに提出するよう要請されるのが通常です。
訴訟期日は、約1か月程度の間隔で、順次、数回指定されることが多いといえます。
初めの2、3回の訴訟期日では、双方の主張のやりとり、争点の絞り込み、確認が行われ、それと並行して、書証の提出もなされます。
そのうえで、必要に応じ証人尋問、本人尋問なども行なったうえで、弁論終結、判決言渡へと進んでいきます。
その間、裁判官より双方に、裁判上の和解の勧告が適宜のタイミングでなされることも多いといえます。
裁判上の和解が成立すれば、判決言渡はなされません。

裁判上の和解による離婚

離婚訴訟において裁判上の和解によって成立する離婚は、和解離婚と呼ばれます(人事訴訟法37条1項)。
離婚訴訟の判決による離婚の場合は、判決に対して相手方から控訴申立てがなされて、解決まで長引くことがありますが、和解離婚の場合は、控訴申立て等はなされませんので、実際上、早期の解決となることがメリットといえます。

認諾離婚

これはそう多くはないのですが、離婚訴訟において被告が原告の離婚請求を認諾することによって離婚が成立することがあります。
これは認諾離婚と呼ばれます(人事訴訟法37条1項本文)。
ただし、認諾離婚においては、財産分与などに関する処分などの附帯請求処分についての裁判又は親権者の指定についての裁判をすることを要しない場合のみに限られています(人事訴訟法37条1項但し書き)。

判決

訴訟期日が進行されて、双方の主張整理、書証及び人証(証人及び本人の尋問)の取調べが済んで、判決の機が熟すると、裁判官は、口頭弁論を終結させ、判決言渡期日を指定したうえ、判決言渡を行ないます。

判決以後の手続

判決が送達されると、当事者(原告及び被告)は、送達後2週間以内に控訴の申立てをすることができます。
双方から控訴がなされなければ判決は確定となります。
判決の内容が離婚を命ずるものであれば、判決確定により離婚の効力が生じますので、役所へ届出をすることが可能となります。
当事者の双方あるいは一方から控訴期限内に控訴の申立てがなされますと、控訴裁判所(高等裁判所)にて、裁判が続けられます。
控訴裁判所(高等裁判所)において、審理がなされ、機が熟せば弁論終結となり、控訴裁判所の判決言渡が行なわれます。なお控訴裁判所でも和解の勧告がなされることもあり、裁判上の和解が成立することもあり得ます。
控訴裁判所の判決に対しても、当事者双方は送達の日から2週間以内に上告並びに上告受理の申立てをすることができます。上告・上告受理申立が適式に受けつけられると最高裁判所での審理へと進むことになります。
ただし、実際上、上告・上告受理申立の理由はかなり限られておりますので、最高裁判所へと進むことは必ずしもそう多くはありません。

離婚判決確定後の手続

離婚を命じる判決が確定した場合には、離婚訴訟の原告は、確定した日から10日以内に役所へ、判決書謄本、確定証明書を添えて離婚届(離婚の相手方の署名は不要、証人欄の記入も不要)を提出する必要があります(戸籍法76条、63条)。
その届出期間内に届出をしない場合には、5万円以下の過料に処せられることがあります(戸籍法135条)ので、注意するべきです。

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