義務者の収入が算定表を超える場合、養育費はどのように算定されますか。

義務者の収入の算定表上限

 算定表では、義務者の収入は、給与所得者の場合で2000万円、自営業者の場合で1409万円が上限となっています。

義務者の収入が算定表上限を超える場合

 算定表が予定する基礎収入の割合は、算定表記載の収入を前提として算出された公租公課や特別経費の割合を前提としているため、総収入が算定表の上限額を超える場合には算定表を用いることができません。
 また、高額所得者の場合、生活実態が様々であることから、一律に基礎収入割合を定めることが難しい面があります。
 さらに、高額所得者の生活実態をみると、その収入の全てを生活費として費消することは少なく、貯蓄等に回されることもあるため、基礎収入すべてを標準的な生活費指数に基づいて、按分比例して養育費を算定することには疑問があります。
また、養育費については、性質上、収入に比例して増えるものではないという指摘もあります。
 こうしたことから、義務者の収入が算定表の上限を超える場合には、事案ごとの個別的事情を考慮して養育費を算定すべきと解されています。

具体的な考え方

 基本的に、算定表の上限額を上限とすることで足りるという見解が示されています(岡健太郎「養育費・婚姻費用算定表の運用上の諸問題」判タ1209号8頁)。この場合、私立学校の学費等特に算定表の上限額を超える費用を要する場合に、事案に応じて相当なものについては、相当な額を加算する方法などを採ることも考えられます。
 もっとも、家裁実務においては、算定表のベースとなる標準算定方式に従って計算する例が多いとされています。その場合、義務者の実際の収入を基礎としつつ、基礎収入割合を調整して(給与収入が2000万円の場合の基礎収入割合は34%とされていますが、2000万円超の収入がある場合は、34%よりも低い割合を用います)、養育費を算定することになります。

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