離婚Q&AQUESTION
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父母の子に対する扶養義務の終期は、原則として、子が成人に達するまで(20歳に達するまで)と解されています。
したがって、現在の家裁実務においては、養育費の支払終期について、子が20歳に達するまでとすることが原則とされています。
子が成人に達しても、なお大学や専門学校など高等教育を受けていることがあります。
大学進学率は、第二次世界大戦の終戦後上昇し続け、昭和51年に専門学校ができた後は一旦減少しましたが、平成3年からは再び上昇に転じ、平成21年には50%を超えています。
日本の学校教育制度によりますと、高等学校を18歳に達する年度の3月に卒業し、翌4月から4年制の大学に進学したとすると、大学を卒業するのは22歳に達する年度の3月になります。つまり、大学在学中に成人に達することになります。
子が成人に達しても、なお大学や専門学校など高等教育を受けている場合、扶養義務者の資力、学歴などの家庭環境を考慮して、その環境で大学等の進学が通常と解される場合には、当該子が親からの扶養を要する未成熟子に該当し、養育費を支払う義務が生じることがあります。
大学進学がごくありふれたものになっている現在では、大学卒業時までの養育費の支払を定めることも一般的になってきているといえます。
子が成人に達しても、持病や障害があって稼働能力がない場合や独立して生活を営む状態にない場合には、なお親からの扶養を要する未成熟子に該当し、養育費を支払う義務が生じることがあります。
日本における成年年齢は、20歳とされています。ところが、近年、18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当ではないかという議論がされるようになり、公職選挙法の選挙権年齢が18歳と定められるようになり、その後、成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする民法改正がなされました(2022年4月1日施行)。
子の養育費について、「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めがされている場合、取決めがされた時点では成年年齢が20歳であったことからすると、成年年齢が引き下げられたとしても、従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられています。
また、養育費は、子が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるものであり、子が成年に達したとしても、経済的に未成熟である場合には、養育費を支払う義務を負うことになるため、成年年齢が引き下げられたからといって、養育費の支払終期が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。