離婚Q&AQUESTION
離婚Q&AQUESTION
夫婦の一方が、1日も早くとにかく早く離婚したいと考えている場合に、財産分与や養育費などを取り決めることなく離婚をすることがあります。また、離婚後も一定の収入があることを前提に、「養育費はいらない。」と言って離婚をすることもあります。
このように養育費についての取決めをすることなく離婚をした場合、離婚後に当然には相手に養育費を支払ってもらうことはできません。もっとも、離婚後に、子どもの教育費等がかかるようになって、自分の収入だけでは生活が苦しくなると、後になって元配偶者に養育費を支払って欲しいという状況が生じることがあります。
養育費は、未成熟児に対する扶養義務(民法877条1項)に基づいて負担すべきものであり、離婚後であっても消滅することはありません。
したがって、もし養育費について取り決めることなく離婚した場合であっても、離婚後に養育費の請求をすることは可能です。また、離婚から数年後経過した後であっても、養育費を請求することはできます。
なお、離婚時に「養育費はいらない。」と言って離婚したようなケースで、養育費を放棄したという場合は、原則として後から請求することは認められないと考えられますが、離婚当時の収入状況から、養育費を払ってもらわなくても生活が成り立つ見通しであることを前提に「養育費はいらない。」と言って離婚したものの、その後の就労状況の変化により収入が減少し、養育費なくして子どもを養育費することが困難な状況に陥ったような場合など、離婚時に予見できなかった重大な事情の変更が生じたときには、養育費の請求が認められる場合があります。
離婚後も養育費の請求をすることはできますが、養育費を過去に遡って、例えば、離婚後10年経ってから、離婚時から現在に至るまで過去10年分の養育費をまとめて支払ってもらうことはできるのでしょうか。
これについては、過去に遡って多額の養育費の支払を命ずることは相手方にとって酷であり、公平に反する場合があること、養育費は定期的に発生するものであって、過去に支払がなくても生活することができていたことからすれば、必ずしも要扶養状態にはなかったともいえること等から、過去に遡って請求することは認められないことが多く、もし認める場合であっても期間を限定して認めるというケースが多いといえます。
また、実務上は、請求時からの支払を認める例が多いとされていることから、離婚時には養育費について取り決めていなかったとしても、離婚後にあらためて養育費を支払ってもらいたいという場合には、早めに養育費請求の調停を申し立てる必要があります。