財産分与は、どのような算定方法で行われますか。

はじめに

財産分与とは、離婚時に夫婦間の財産格差を調整する制度です。
協議離婚した場合、一方は相手方に財産分与を請求することができますし(民法768条1項)、当事者間に協議が整わない場合には、家庭裁判所が協議に代わる処分を行います(民法768条2項)。
また、離婚訴訟の場合には、訴えの提起と同時に財産分与の申立てをすることができます(人事訴訟法32条1項)。

2分の1ルール

財産分与の基本的な考え方は、婚姻後に形成した財産について、特段の事情のない限り、双方の寄与を平等と推定して、分配する、というものです。
これは、2分の1ルールともよばれます。
なお、この2分の1ルールはあくまで原則であり、双方の寄与について、「特段の事情」がある場合には、分配割合に関しても、5:5ではなく、傾斜がつけられることもあります。
実際に財産分与を計算する場合には、夫婦の全体財産を、夫婦の所有名義ごとに分けて、各当事者名義の純資産を計算し、それを比較し、財産分与後の所有名義の財産が均等になるように清算的財産分与額を決めるという方法で行われるのが通常です。

扶養的財産分与と慰謝料的財産分与

扶養的財産分与とは、財産分与において、離婚後の一方当事者の扶養の点を考慮することをいいます。
慰謝料的財産分与とは、財産分与において、慰謝料を考慮することをいいます。
上記のとおり、通常の財産分与は、婚姻後に形成した財産を、双方の寄与を加味して分配する、というものですので、扶養的要素や慰謝料的要素は加味されません。
ただ、離婚後の生活に困窮する場合や、慰謝料的要素を加味しないと希望する現物給付が認められないような場合には、扶養的要素や慰謝料的要素を加味するという考え方もあります。

特有財産の除外

財産分与の対象となるのは、婚姻後夫婦が協力して取得した財産です。
そこで、婚姻前に取得した財産や、婚姻後であっても、親族から相続や贈与を受けた財産に関しては、特有財産として財産分与の対象から除外されます。

基準時

財産分与の対象をいつの時点の財産で行うべきかに関しては、別居時と考えられています。
したがって、別居後に取得した財産に関しては、財産分与の対象にはなりません。
なお、別居に関しては、経済的協力関係が終了したことを意味するため、家庭内別居などの場合には、「別居」とは認められないことも多いといえます。

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